最近他店で購入された整備不足の車両の持ち込みが増えています。

「なんか調子が悪いです」「乗りにくいけどこんなもんですか?」
などのご相談はまだいいのですが。。
中にはケガをされて当店に自転車を持ち込まれるケースも。

ご購入前にぜひ知っておいていただきたいのがお店での納車前の組立整備です。

メーカーから届いた自転車に我々ショップのメカニックはなんのために、いったいどんな仕事を施して、お客様へ納車しているのか?
大切な愛車選びで後悔しないためにお店選びの大切さ(←切実)を組立整備から考えていただければ幸いです!

入荷製品の開封

メーカーからこのような状態で届きます。

まずは入荷した車両に間違いがないか確認し、箱への外傷や同梱品に不備がないかチェックします。

メーカーは自転車の輸送コストを抑えるために、梱包サイズを極力小さくして出荷しています。
その為、中に入っている自転車は、‘乗る為’のポジションではなく、 ‘箱に収めるため’のポジションで入荷します。

BROMPTONはまだ完成された状態が保たれていますが、ほとんどの自転車はハンドルやペダル、サドルが外されて出荷されており、中にはフレームから組み立てる自転車もあるのです。

各部位に保護された緩衝材を全て外し、表面上でパーツの欠損や入荷商品の仕様などに間違いがないか確認します。

この形。箱にとても収まりのいい状態にセットされています。
つまり、この状態では乗車時に適切なセッティングにはなっていないのです。

全体の傷や異常な点がないかをチェック

全体の傷や異常な点がないかをチェック

サドルとヒンジクランプを取り付けて組み立てたら、まず表面に傷や異常がないかを点検します。

パーツの動作不良・変形などもこのタイミングで確認します。

ホイールの振れ取り

前後ホイールをはずし、ホイールからタイヤとチューブもはずします。

このタイミングでホイールを固定するパーツや、ネジ山に傷みが無いか、タイヤの不良やスポークが折れていないかチェックします。

まずは機械で組まれたホイールの馴染みをだすため、体重を乗せてしごきます。
この作業をしないと、走行中に馴染みが出る事になり、ホイール全体の歪みの原因になることがあるため、重要です。

スポークテンションを高めながら、縦振れと横振れを0.5mm以下の精度で調整します。

調整後、ホイールの左右に偏りがないかチェックする工具がセンターゲージです。

偏りがあれば均一になるように修正し、最後に横振れをもう一度取ります。

スポークテンションが低い場合やホイールに振れがあると、リムがブレーキに擦ってしまうだけでなく、スポーク折れの原因になる場合があるため、注意が必要です。

歪みのあるホイールは、最初は問題がほとんどでないものの、自転車に長く乗っていると次第に横振れが増幅されていきます。
また、最初の状態でホイールのスポーク(棒)を調整するニップル(ネジ)が万が一緩んでいると、横振れと同様にニップルが緩む事があり、そのまま乗り続けるとスポークが折れてしまう事もございます。
ホイールの振れ取りは、自転車の初期整備に置いてとても重要なのです。

リムテープの交換

工場出荷時に装着されているリムテープは、糊で接着されていないタイプやゴム製のタイプがございます。
当店では、長く使っているとずれてパンクしてしまう可能性があると判断したリムテープは、高圧にも対応する厚い布製で、接着されるタイプのリムテープに交換しております。
ホイールの内側でパンクしてしまうリスクを大幅に軽減できるのが、ずれにくく長持ちする布製リムテープの役目です。

リムテープはパンク防止に役立つ重要なアイテムです。

初めから性能の良いテープが巻かれている自転車もあれば、走行中にずれてしまうタイプのリムテープも見受けられます。
(新車入荷時からずれていることも!)
強度的に不足している可能性や、ずれる可能性があると判断したリムテープは、強化タイプのリムテープに交換する事が重要です。

この作業をする事で、パンクのリスクを最小限に抑えることが可能です。

各所増し締め

工場のラインで組み立てられた自転車は、5〜8分組みの状態になってお店に入荷します。

ボルト類に破損がないか調べるとともに、しっかり締まっているかチェックします。
工場で出荷された自転車に、緩いままのボルトがあったとすると…そのまま納車された自転車は、使用中に部品が緩んで思わぬ事故につながることもあり危険です。
納車時のきめ細やかな整備が、いかに大事かお分かり頂けるかと思います。

私たちは泥除けなどの細かいボルトも、必要と判断した部位は増し締めしております。

空気入れ

タイヤ横に書いてある適正空気圧まで、ゲージ付きの空気入れで計りながら空気を充填します。
空気が少ないと、走りが重くなり、タイヤの中でチューブが擦れてパンクの一因に繋がります。

ギア調整

入荷した自転車はギア調整が全くされていないことがほとんどです。
調整が甘いと最悪の場合、後ろの変速機がホイールに巻き込まれて、ホイールも変速機も破損させてしまう恐れがあります。

私たちは、自転車をメンテナンススタンドにかけて、必要に応じてシフトアウターワイヤーにスペシャルオイルを塗布し、ディレーラーを調整して、更にワイヤーの初期伸びを極力とった上で変速調整をしています。
この工程を施工する事で、一台一台のギアが正しく動作するようになります。

ポジション調整

自転車のポジション調整は非常に重要な項目です。

ポジションが体に合っていないと、走っていて疲れるだけでなく、場合によっては負担がかかる部位に痛みが出ることもございます。
乗り手の腕の長さや脚の長さ、そして好みに合わせてヒアリングしながらセッティングいたします。

サドルは足の長さによって前後位置を調整すると、ペダルのこぎやすさが変わります。こぎやすいサドル位置にすると快適にペダルを回すことができ、膝への負担を減らすことにもつながります。
また、サドルの角度は基本的には地面と水平位置が一般的ですが、前傾姿勢のポジションの場合は若干前下がりにするなど、好みで調整可能です。
お尻に傷みがある場合、角度を調整する事で改善する場合がございます。

ハンドル位置は上半身の長さと腕の長さによって乗りやすいポジションが変わります。
リラックスした状態で自然にハンドルを握った時に違和感のないポジションにする事が大事です。
ハンドルの位置が決まったらブレーキレバーとシフトレバーの操作がスムーズにできる位置にあるか確認します。ブレーキレバーは手の大きさに対して遠すぎるとブレーキをかけるたびに疲れてしまいます。
ブレーキレバーは握る際の距離を縮める調整ができる製品がございますので、握りづらさを感じたらスタッフまでお気軽にご相談ください。

納車時に乗車確認いただき、納得できるまで調整可能です。

人が乗る乗り物で、これほどポジション調整が重要な乗り物は自転車以外では少ないでしょう。

気持ち良く乗れるポジションにセッティングした自転車と、そうでない自転車の乗り心地は雲泥の差が生まれます。

長く乗り続ける乗り物だからこそ、身体に合ったポジションに調整する事が大事です

試走チェック

試走チェック

ブレーキの制動力やギアチェンジの動作、走行時の異音や不具合がないか、実際に走行して確認する大事なステップです。

少しでも異常があれば、調整と乗車確認を繰り返し、最適なセッティングに調整いたします。
体に合ったポジションは快適に長時間乗ることが可能です。

ワイヤーグリスアップ《birdy向け工程》

工場から入荷したワイヤーには、オイルやグリスが入っていないことがほとんどです。
車種に合わせて、ワイヤーに最適なグリスやオイルを注入することで、レバータッチを良くするだけではなく、長い間、引きが軽い状態を作ることができます。
防水・防塵性も高まり、一石二鳥の効果が得られる重要な作業です。

ディスクブレーキローターの歪み調整

ディスクブレーキ本体のセッティングの他に大事なのが、ブレーキローター(円板)の歪み調整です。
ブレーキローターはホイールと同じく、入荷時に振れが出ている場合がございます。
振れが出ている状態だと、走行時にブレーキローターがブレーキパッドに当たることになり、不快な音が発生するだけではなく、振れの度合いによってはホイールの回転を妨げることも。
ブレーキローターの歪みは、工具を使って最小限に振れを取ってからブレーキ本体をセッティングしております。

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